不倫の証拠として認められないケース

文責:所長 弁護士 伊藤美穂

最終更新日:2025年05月29日

1 不倫慰謝料請求において必要となる証拠について

 前提として、不倫慰謝料を請求する場合には、証拠をそろえる必要があります。

 集めるべき証拠は、不倫慰謝料の発生原因となる不貞行為(不倫をした配偶者と不倫相手との間における性的関係)の存在を証明できるものです。

 不貞行為の存在を直接的、または間接的に証明できるものであれば、訴訟の場でも証拠として認められます。

 逆に、配偶者以外の者との間の交際関係をうかがわせる証拠であっても、それが不貞行為の証明につながらないものであれば、証拠として認められません。

 以下、不倫の証拠として認められない証拠の例と、参考として不貞行為の存在を証明できる証拠の例について説明します。

2 不倫の証拠として認められない証拠の例

⑴ 性的関係に直結しないメッセージのやり取り

 配偶者以外の交際相手と思しき者との間での、LINEやメールなどでのメッセージのやり取りは、不倫の存在を疑う端緒になるものではあります。

 ただし、事務的な内容のものである場合や、親密さをうかがわせるものであっても、買い物の約束や食事の約束程度のものである場合には、不貞行為の存在を証明できるとはいえません。

⑵ 性的関係とまでは言えない行為

 配偶者以外の者2人だけで食事をする、行楽地に出かけるなどの行為があったとしても、それだけでは性的関係があったとまでは言えません。

3 不貞行為の存在を証明できる証拠の例

⑴ ホテルや不倫相手の自宅に出入りする場面の写真や動画

 性行為に及ぶ可能性が高い場所に出入りする場面の写真や動画は、興信所などに証拠収集を依頼した場合に得られる、不貞行為の存在を証明する証拠の代表的なものと言えます。

⑵ 性行為の動画や性的関係を裏付けるメッセージのやり取り

 スマートフォンの中に不倫をした配偶者と不倫相手との間の性行為の動画が保存されていたり、LINEなどに動画を添付していることがあります。

 また、ホテルや不倫相手の自宅を出入りする場面の写真や動画までは収集できなくても、性的関係を示すメッセージと、2人だけで会っている場面の写真や動画を組み合わせることで、不貞行為の存在を証明できる可能性があります。

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